I.Prelude 海流の唄 II.Interlude 鼓動の交差 III.Finale 空へ
新野将之さんの音は迫力がありつつも、音楽への愛や優しさに満ちている。マリンバや、ティ ンパニ、スネアドラムなどと、同じ打楽器とは言えど違った特性の楽器も、彼にかかればいろんな言葉、鳴き声など作曲家が託した言葉を生き生きと話し出す。これが私が初めて彼の演奏を聴 いた時の印象だった。そんな素晴らしい演奏家に作品を書けることはとても光栄なことであり、 この場を借りて感謝いたします。 話は変わるが、ロシアがウクライナを侵攻して1年半経つ。多くの人が戦争に駆り出され、国や 家族を守るために傷ついているのが現実である。私は日本にいてニュースでしか実感はできないが、改めてこの世界は本当に平和なのか疑問に感じる。
今回、楽曲を通して人間の未熟さを嘆くとともに、歴史的に戦いと結びつきがあるスネアドラムと兵器が発達していった産業革命後に出 てきたサクソフォーンで「平和」を願う楽曲を作りたいと思い制作をしていった。 楽曲は、サクソフォーンがゆっくりと朗々と歌う中、スネアドラムがソリスティックに特殊奏法 などでリズムを刻む1楽章。サクソフォーンとスネアドラムがアンサンブルとして融合していく2 楽章。速いテンポで曲が展開されていく3楽章で構成されている。
2023.10.1